骨粗鬆症財団20年のあゆみ
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13 骨粗鬆症財団設立20周年、日本骨代謝学会を代表して心からお祝いの言葉を述べさせて頂きます。財団設立の経緯や、その後の歴史、活動に関しては実際にそれに当たられ、汗をかき御苦労された先生方が沢山いらっしゃるので、わたしはこれからの財団に対しての期待と日本骨代謝学会とのかかわりについて述べさせて頂きます。 現在骨研究領域は国内外を問わず追い風が吹いています。その理由はいくつか考えられますが、世界的な高齢化に伴う骨格の重要性に対する意識の高まりと骨粗鬆症の急増、それと並行して効果の高い骨粗鬆症治療薬が途切れずにマーケットに登場していることなどが挙げられます。骨吸収阻害剤では、安全で安定した効果を持つビスホスホネートが発売され、そして日本ではまだ承認はされていませんが、1年前後で承認されることが予想されるヒト型モノクロナル抗体デノスマブが発売され、骨粗鬆症治療に新しい選択肢が生まれました。またまだ開発段階ですが高い治療効果を示し、近い将来にマーケットに出てくると期待されているカテプシンK阻害剤などがあります。一方使用期間に制約はあるものの骨形成促進剤として強い効果が示されているテリパラチドが発売され、また強力な骨形成促進作用を持つスクレロスチン抗体も開発中です。こういう状況が形成されつつあるのは、まず基礎研究において破骨細胞や骨芽細胞の細胞生物学的特性が分子細胞レベルで明らかにされたことが大きく貢献していることは疑う余地がありません。次いで製薬メーカーがこれらの科学的知見に基づいて薬物を開発し、慎重な長期にわたる臨床治験を行った後、FDAや厚労省などの公的機関の承認を得てマーケットに売り出すというステップが必要です。そして最後に医師が骨粗鬆症患者にこれらの薬剤を投与し、その効果を検証していくことになります。これらの過程はいずれもお互いに密接に相互関連しており、どこかでつまずくと最終的な疾患治療に結実させることはできません。これらの過程において日本骨代謝学会は主に基礎研究の部分を担当し、骨粗鬆症財団や日本骨粗鬆症学会は臨床治験と実臨床での骨粗鬆症治療を担うことになります。したがって骨粗鬆症財団(日本骨粗鬆症学会)と日本骨代謝学会とはいわば車の両輪の関係にあり、どちらかがうまく機能しなくなると骨領域全体がその影響を受け、いろいろな不具合が生じてきます。そうなると最も困るのは骨粗鬆症患者さんです。そういった意味で骨粗鬆症財団と日本骨代謝学会とは骨粗鬆症を主体とする代謝性骨疾患の完治を目標として、異なる方向からのアプローチを取りながらお互いを牽制、刺激し合ってゴールに向かって突き進んでいかなければならない関係にあると言えるのではないでしょうか。たまたま日本骨代謝学会も今年で第30回を迎えました。この間の多くの先人たちの努力により、基礎研究に限って言えば日本の骨研究のレベルは相当に高く、たくさんの優れた研究者が輩出しており、論文の質も日本骨代謝学会理事長大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座生化学教室教授米田 俊之骨粗鬆症財団設立20周年に寄せて

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