15 骨粗鬆症財団設立20年、まことにおめでとうございます。日本骨形態計測学会を代表して、また骨粗鬆症診療に携わる一員として心よりお祝い申し上げます。 日本では骨粗鬆症の有病者は1,300万人と推定されております。骨粗鬆症は高齢者に多く、高齢化が進む日本において今後の増加が予測されており、社会における取組みが急務となっております。骨粗鬆症は骨脆弱により、大■骨近位部骨折、脊椎椎体骨折などをはじめとする骨折をきたし、日常生活(ADL)の障害や生活の質(QOL)の低下、ひいては寝たきりに至る重篤な病態ですが、その重篤性について以前は必ずしも認知されたものではなく、老化に付随するものとして大きな関心は払われていなかったように思います。骨粗鬆症財団ではこのような骨粗鬆症の重篤さ、対策の必要性にいち早く注目し、財団を設立し、学術活動、市民への啓発活動を通じ、骨粗鬆症の予防と治療に大きな貢献をしてこられました。関係者の先見の明により、他に先駆けて取り組まれ、現在に至っておられ、20年間の貢献はまことに大きなものがあります。骨に関する組織の一つである日本骨形態計測学会として心より敬意を表します。 骨粗鬆症財団の啓発活動としては医療関係者においては骨量(骨密度)測定講習会を通じて骨密度測定手技のレベルアップと標準化を進めておられます。骨粗鬆症診断における重要な指標である骨量(骨密度)測定の標準化は骨粗鬆症診断、治療の評価での根幹をなすものです。全国的な講習会などの取り組みを通じて標準化を図っておられその意義は大きなものです。また全国骨を守る会との連携を深め、一般の方々がそれぞれの地域で骨を守る会、市民公開講座を通して骨粗鬆症の知識を高められるように手助けをされておられます。この運動はいまや一般の方への啓発活動として重要なものとなっております。また教育ゼミナールを定期的に開催し、製薬会社関係者や医療関連の職種の方々への教育活動を進めておられます。常に新しい知見を専門の方から講演していただくことで、広くレベルの高い最新の知見を広めることとなっております。さらに海外にも目を向けられ、国際骨粗鬆症財団、そのほかの組織と密接に連携をとられ、グローバルな視点で骨粗鬆症の診療、診断、治療と予防に関する知見を取り入れ、実践しておられます。 このように国内においては医療スタッフ、一般の方、医療関連の方々への啓発事業と実践活動を行っております。その活動は国内にとどまらず、国外においては国際的団体との連携を深めておられます。まさに国内外で活動され、骨粗鬆症診療、予防と治療において大きな貢献をしておられ、他に類を見ない大きな活動とご貢献と思います。 骨粗鬆症財団は骨粗鬆症を扱っておられますが、広く骨、骨格の健康維持と向上を目指すものであ日本骨形態計測学会理事長新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座整形外科学分野教授遠藤 直人骨粗鬆症財団20年をお祝いして
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