神戸で開催された第58回教育ゼミナール井上哲郎財団副理事長36 1 普及・啓発事業(国内)平成3年(1991年)、骨粗鬆症財団設立の翌年、平成4年2月19日に記念すべき第1回教育ゼミナールが実施された。第1回は当時国立療養所兵庫中央病院院長藤田拓男先生と滋賀医科大学放射線科教授森田陸司先生が講演している。教育ゼミナールは平成24年(2012年)7月に第58回を迎えたが、その間、骨粗鬆症領域で基礎および臨床の分野を常にリードする全国の著名な先生方に講演を依頼してきた(p. 79~83 表1)。また、座長は第1回の開催から今日に至るまで、当財団副理事長の井上哲郎先生に担っていただいている。演題数は130を数え、89名の演者が講演を行った。ちなみに回数の多い演者としては、折茂肇先生と故森井浩世先生(各5回)、白木正孝先生と三木隆己先生(各4回)さらに森田陸司先生、福永仁夫先生、西沢良記先生、中村利孝先生、松本俊夫先生(各3回)が挙げられる。1回あたり通常2演題の構成だが、過去には3演題または4演題で実施したことも2回あった(第17回および第35回)。教育ゼミナールは1演題の時間を70分(質疑応答込み)に設定しており、通常学会で行われる講演より長く、その分内容が濃く、参加者からは詳しい発表を落ち着いて聴けるのでよいとの反応が多い。会場は、当初は霞が関ビル33階にある東海大学校友会館を使っていたが、持田製薬株式会社のご厚意により、その後新宿区四谷にある同社本社2階のルークホールが使われるようになった。講演内容はここ10年ほど新しい治療薬が数多く臨床の場で使われ、加えて骨密度測定装置の開発・普及が進む中で、予防、診断と治療に関するものが多い。それ以外では続発性骨粗鬆症や骨代謝マーカー、骨量測定、骨質、食事・栄養などに関するテーマが多くとりあげられた。また、厚生労働省にも講演を依頼し、薬務局、保険局、保険福祉局や老健局から講師を招いた。講演内容は骨粗鬆症治療薬を中心とした医薬品の市販後安全対策やわが国の老人保健事業および高齢者医療に関するものであり、行政側からみた骨粗鬆症への取り組みを知る上で大いに参考になる講演であったと考える。教育ゼミナールは基本的には当財団の賛助会員向けに実施しており、製薬会社学術・4. 教育ゼミナール
元のページ ../index.html#36