骨粗鬆症財団20年のあゆみ
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5 骨粗鬆症財団(JOF)は、1991年に創設され、この度20年の節目を迎えました。この折にこれまでのJOFの活動を振り返り、今後の更なる発展に向けて「骨粗鬆症財団20年のあゆみ」を刊行することになりました。JOFの国内における主な活動は骨粗鬆症に関する研究・助成と医療関係者・一般市民を対象とした啓発運動です。 研究・助成に関しては、低金利の厳しい状況にもかかわらず毎年複数の研究に対して助成を行い、着実に成果を上げてきました。最近10年間の主な研究課題としては、「日本における大■骨近位部骨折の発生頻度に関する研究」(2002年)、「骨粗鬆症のビタミン所要量の調査研究事業」(2002年)、「骨粗鬆症と栄養に関する臨床的研究」(2003年)、「運動が骨密度に及ぼす影響に関する個人差の解明事業」(2003年)、「生活習慣の改善と骨粗鬆症予防に関する調査研究」(2007年)、「全国的データベースを用いた骨粗鬆症性骨折の予防と治療に関する研究」(2009〜2011年)、「効率的な介護予防を目指した骨粗鬆症対策」(2009〜2011年)が挙げられます。更に最近では、日本イーライリリー株式会社および旭化成ファーマ株式会社のご協力を得て、骨粗鬆症およびその患者のQOL向上のための臨床研究への助成を行っています。 啓発活動については、財団ホームページに質問コーナーを設け、一般市民の方からのご質問にその都度、e-mailで回答する双方向コミュニケーションのシステムを確立して対応しているほか、各種の出版、講演会の主催など骨粗鬆症の啓発に努めています。更にプライマリーケア医、閉経後の健康女性、骨粗鬆症患者を対象とした「骨粗鬆症に関する意識の実態調査」を行ったり、プライマリーケア医を対象とした「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」の刊行に積極的に取り組みました。厚生労働省は40歳以上の人を対象とした骨粗鬆症検診を健康増進事業の一つの柱として位置づけています。JOFは2000年4月に厚生省の依頼を受け、JOF監修による「老人保健法による骨粗鬆症予防マニュアル」を作成しました。このマニュアルは全国3,552の市町村に配布され、国をあげての骨粗鬆症予防のためのキャンペーンが開始されました。同書はその後新しい知見を加えて全面的な改訂が行われ、「骨粗鬆症検診・保健指導マニュアル」(2009年発行)として引き継がれています。 一般市民の間でも骨粗鬆症に関する関心が次第に高まり、1999年には市民有志による「東京骨を守る会」が設立され、その後「新潟骨を守る会」「名古屋骨を守る会」が設立されました。最近では北海道「札幌骨を守る会」、埼玉「埼玉・板橋 健康いきいき講演会」、石川「北陸大学骨を守る会市民フォーラム」、大阪「骨粗鬆症・生活習慣病ネットワーク」、京都「京滋骨を守る会」など、各地で啓発活動を行う組織が増えてきました。JOFではこのような会が全国各地で設立され、また活動を支公益財団法人骨粗鬆症財団 理事長東京都健康長寿医療センター 名誉院長折茂 肇はじめに

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