骨粗鬆症財団設立30周年記念誌 OSTEOPOROSIS
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10出典:上西一弘ほか「牛乳摂取を中心とした中高生の食生活の実態と身体組成」食の科学 光琳(2002年)〈参考文献〉1)野末みほ,Jun Kyougyui,石原洋子ほか,小学5年生の学校給食のある日とない日の食事摂取量と食事区分の比較, 栄養学雑誌 68(5): 298-308, 2010.2)上西一弘:CLINICAL CALCIUMU 28(4),69-74,20183)SatoY,Iki Y,FujitaY et al,Greater milk intake is assoclated with lower bone turnover,higher bone density,and higher bone microarchitecture index in a population of elderly Japanese men with relatively low dietary calcium intake,Fujiwara-kyo Osteoporosis Risk in Men(FORMEN)Study. Osteoporosis Int 26(5),1585-1594,20154)Ana M López-Sobaler, Aránzazu Aparicio , M Luisa López Díaz-Ufano , Rosa M Ortega , Celia Álvarez-Bueno. Effect of dairy intake with or without energy restriction on body composition of adults: overview of systematic reviews and meta-analyses of randomized trials. Nutr Rev. 2020:78(11),901-9131日の牛乳摂取量と体脂肪率(中高生女子)私たちとカルシウム管からのカルシウムの吸収を助けているという訳です。 数ある食品群の中で、とりわけ牛乳中のカルシウムが吸収性に優れているのは、こうしたメカニズムが働いているからであると考えられています。 現状でのカルシウムの摂取量は、男女とも推奨量に比べて200㎎以上不足しています。コップ1杯(200ml)の牛乳に含まれるカルシウムは227㎎。毎日コップ1杯の牛乳を飲むことを加えることで不足分を解消することができます。実際、牛乳摂取量が多い人(1日コップ1杯以上)と少ない人(週に1回以下)を比べた結果、多い人は大腿骨近位部骨密度が有意に高く、牛乳摂取習慣によって低骨量リスクが抑制されていました。ヨーグルトは牛乳と同じように摂取しても問題ありません。同じく牛乳を原料としているアイスクリームやチーズにもカルシウムは豊富に含まれていますが、アイスクリームには糖分、チーズには塩分が含まれていますので、摂り過ぎには注意して、バランスのとれた栄養摂取を心がけてください。 牛乳は動物性食品で、大豆からつくられる植物性の豆乳と比べカルシウム含有量に大きな違いがあります。強い骨をつくるカルシウムを摂る目的では、カルシウムを多く含み、しかもその吸収性が高い牛乳の方が有利と言えます。 現在、特に欧米において植物性食品の方がヘルシーかつ安心であるという考えが流行していますが、偏りなく栄養を摂るためには動物性と植物性のどちらの栄養も人間には不可欠です。健康的な食生活は、動物性食品と植物性食品をバランスよく摂ることが必要です。     今も、「牛乳を飲むと太る」と思っている人が多く、それは牛乳に含まれる脂肪量が多いことから肥満を助長すると考えられてきました。しかし、最近報告された研究では、摂取カロリーを制限したうえで牛乳摂取量を増やすと腹囲やBMIがむしろ減少することが明らかになりました4)。その脂肪量の多さにとらわれるのではなく、たんぱく質やカルシウムを豊富に含む牛乳を摂ることがむしろ減量につながるということが示されたと言えます。 カルシウムは骨を強くし、生活習慣病の予防効果もあります。カルシウムや良質のたんぱく質を豊富に含む牛乳は、いいね!がたくさんもらえる食品だと思います。―どのくらい牛乳を飲めばいいですか。ヨーグルトやアイスクリーム、チーズは代わりになりますか。―牛乳を飲むと太りやすい気がします。豆乳でもいいでしょうか。―牛乳の魅力がまた増えました。

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