骨粗鬆症財団設立30周年記念誌 OSTEOPOROSIS
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13写真提供:JAXA/NASA写真提供:JAXA/GCTC宇宙ステーション内でのトレーニング1989年、東京大学医学部医学科卒業。2000年同大学博士取得。1989年~1999年、東京大学医学部附属病院に勤務。消化器外科の臨床及び研究に従事。2001年、NASDAよりISSに搭乗する日本人宇宙飛行士として認定。2011年に長期滞在クルーのフライトエンジニアとして国際宇宙ステーションに165日間滞在。2023年頃、打上げ予定のISS長期滞在ミッション搭乗決定。るものを食べたり、くるくる回ったりと宇宙飛行士の方の楽しそうなシーンしか見ていませんが、実際はそんなに忙しかったのですね。古川 仕事で出張に行くようなものですので、結構、忙しいです。榎本 これまで体力面での対策をお聞きしてきたのですが、次に栄養面についても伺いたいのですが、古川さんは国際宇宙ステーションの中で栄養面ではどんなことに気をつけていらっしゃったのでしょうか。古川 宇宙に長期滞在中は、食品を入れる冷蔵庫、冷凍庫がありませんので保存食中心の食事になります。選択肢が地上よりも狭いのは事実で、その中でもなるべくバランスよく食べようと心がけていました。例えば肉を食べ過ぎずに魚を食べようとか、カルシウムをたくさん取った方がいいとか、あるいはナトリウム、塩分はあまり取り過ぎないように、塩の代わりにハーブとかスパイスで味つけをして食べて、といったようなことに気をつけていました。榎本 塩分を控えたり、足りない栄養素を食事で賄わ榎本 今度は宇宙に行ったときの生活面について伺っていきたいと思います。生活面で一番大変なのは健康面なのでしょうか。古川 はい、健康はとても大切です。宇宙では無重力の影響で何もしないと骨や筋肉が弱ってしまいますので、それを防ぐために有酸素運動プラス抵抗運動という形で、毎日2時間程度運動をします。有酸素運動はハーネスをつけて抵抗をつけた形で走る。あるいはバイクをこぐような運動を行います。また、抵抗運動はバキュームを使った真空の力を使った仕組みで、地上のウエートトレーニングと同じような運動ができる装置が最近開発されていて、その機器のおかげで筋肉は鍛えられるようになってきています。 朝6時に起きて仕事を始めるのが7時半から8時の間。まず地上の管制センターと仕事の打ち合わせをし、そこから8時間の仕事、食事、そして運動が2時間半ぐらいで、1日のやることが終わるのが19時ぐらいです。そこから1日を振り返り、夕食をしたり翌日の準備をしたりして、消灯の時間は21時30分です。その後に日本の上空を通ったりするときには写真を撮ったりすることもあり、充実していました。榎本 テレビでは、無重力状態でふわふわと浮いてい古川 聡さん(ふるかわ・さとし)  宇宙飛行士の1日             こんな宇宙食があったなら      

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