骨粗鬆症財団設立30周年記念誌 OSTEOPOROSIS
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18つくば市の古川さんとはリモートで対談2005年、西日本放送アナウンス部入社。2007 年、西日本放送退社。現在は「日テレNEWS24」キャスター。子供の頃から宇宙が大好きな理工学部バイオサイエンス学科卒のリケジョ。「宇宙ビジネスを応援する「宇宙キャスター」兼「JAXA J-SPARC公式ナビゲーター」として活動中。宇宙時代の究極のアンチエイジング榎本 これまでお二人のお話を伺ってきて、宇宙での滞在では様々な対策をしていることがわかりましたし、これから20年30年後には誰もが宇宙に行けるような時代が来るのではないかという印象を受けました。また、この宇宙を対象にした研究や薬の開発というのが、地上でのアンチエイジングにつながっているといっても過言ではないのかなと思いました。そこで本日のタイトルでもある究極のアンチエイジングについてですが、私たちがいつまでも若々しく元気に過ごすためには、この宇宙時代に一体どんなことが学べるでしょうか。松本先生、医学的な観点からお話していただけますか。松本 高齢者の問題である骨粗鬆症や、筋力低下、サルコペニア、運動能力の低下をいかに引き延ばすか。若返るとまでは言えませんけれども、とにかく活動能力を保持したまま高齢社会を実現するというのは、我々がまさにめざしている運動器疾患の克服ということの目的になっています。その意味から、宇宙という場で極端な例を我々も知ることができて、それを参考により早い段階から対策を組み立てていくというのが、これからのアンチエイジングに向けた道筋だろうというように思います。榎本 非常に期待したいところです。古川さん、宇宙滞在のご経験も含めてお願いできますでしょうか。古川 状況やリスクを把握したうえで対応を考えていくことは素晴らしいことだと思います。私が貴重な経験をさせていただいたのは、宇宙の無重力の環境に行ってみて、今まで当たり前だと思っていた重力があるということが当たり前ではなかったという驚きでした。そこから重力をうまく使えたらいいなっていうふうに考えるようになりました。つまり日常のちょっとした身の回りのこと、あるいは歩くだけでも重力のおかげで筋肉を使えているわけです。ですので、楽しめる範囲でそういった日常の身の回りのことでも歩くことでもいいのではないかと思います。そういった楽しみながら体を動かせたらいいのではないかなと思います。榎本 人生100年時代をすこやかに過ごすためには大切なことですね。松本 何事にも課題がありますが、チャレンジすることが大切です。宇宙旅行に挑む宇宙飛行士というのは、現代のチャレンジャーの代表者だと思います。その過程で学ぶ多くの精神的なこと、あるいは肉体的な克服方法とか、それをサポートする医学というものが、これからの人類の生き方や、健康につながっていくのではないでしょうか。宇宙旅行での様々な研究、その成果を、これからの長寿社会に活かしていければいいなと思います。榎本 本日はたくさん興味深いお話を伺いました。松本先生、古川さん、本当にありがとうございました。榎本 麗美さん(えのもと・れみ)  宇宙医学に学ぶ  これからのアンチエイジング     

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