骨密度はあればあるだけ安心が増す老後の貯金のようなもの。きっかけとして骨の大切さに気がつく親の介護に直面してさんじょく22※1 特定の部位や疾患に限定せず、個々人に合った総合的な疾病予防や診断・治療を行う医療骨粗鬆症と共創社会こしている人なら娘さんも骨折リスクが高いので、50歳を超えたあたりで病院にて検査するといったコンセンサス(全体の意見の一致)ができればいいなと思います。三浦 こんなことに気がついたら病院に行ってもいいのだというコンセンサスが出来上がれば、さらに予防へのきっかけになりそうです。小川 超高齢社会を迎えたわが国においては、個々の疾患管理とともに骨折リスクをも念頭においた包括的・全人的な医療※1対策やケアの実践はますます重要と考えられます。三浦 患者さんとしては信頼しているかかりつけ医から骨粗鬆症も気をつけた方がいいですよといってもらえればそれも大きなきっかけになります。 先ほど骨量測定体験会が人気という話が出ましたが、特に自覚症状はなくても骨量がすぐ測定できるというのは予防にとって初めの一歩ではないでしょうか。石橋 測定機器、あるいは測定できるイベントやチャンス自体がまだ少ないと思います。病院にある血圧計のように自分で手軽に骨量を測れて、かつ精度の高い機器があるといいです。寺内 問題化した時にはもう遅いというこの疾患の構造から言って、若年層にいかに検査の機会を与えられるかがポイントとなります。例えば成人式のついでに「骨の成人式」と題して測定チャンスをつくるなどし、強制的でもいいので、高校卒業あるいは成人式のような人生の節目にまず骨量を測って親しんでもらうことが大切です。一度測定すれば、またチャンスがあったら測りたいなとか問題意識が芽生えるかもしれません。現状では、とにかく測定する機会を若年層に提供することに尽きると思います。三浦 確かにいま、女性の妊娠後の骨折が問題になっていますから、20歳前後で一度測定してほしいです。寺内 新潟市民病院の倉林工先生らは、妊娠分娩が将来の骨粗鬆症患者を減らすひとつのきっかけになるだろうと期に健診することを考えて、お産が終わったあと、産試みていらっしゃいます。こちらは自費と聞いていますが、ライフステージの変換期こそ骨粗鬆症を知る大切な機会となれば良いです。小川 若い世代から運動や食事の改善に努めたらその後骨量が増えた、といったことを体感できれば生涯の骨づくりにつながる一助になると思います。褥石橋 英明(いしばし・ひであき)(公財)骨粗鬆症財団 理事愛友会伊奈病院 副院長/整形外科部長寺内 公一 (てらうち・まさかず)(公財)骨粗鬆症財団 評議員東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県地域産科婦人科学講座(寄附講座)教授
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