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- Q1
- 日本国内での骨粗鬆症の患者数を教えてください
- Q2
- 思春期や成人期の若い人でも骨粗鬆症にかかるのでしょうか
- Q3
- 思春期を過ぎてしまったらもう骨量は増やせないのでしょうか
- Q4
- 高齢者でも骨量は回復するのでしょうか
- Q5
- 母乳で子育てをすると骨粗鬆症になりやすいのですか
- Q6
- 骨粗鬆症患者は転倒時に骨が折れやすいのでしょうか
- Q7
- 超音波を利用した「美顔器具」を使うと骨粗鬆症になる?
- Q8
- 「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因に?
- Q1
- 日本国内での骨粗鬆症の患者数を教えてください
骨粗鬆症は「健康」「予備群」「骨粗鬆症」の境が明確ではなく、いわゆるグレーゾーンの人が多いのが特徴となっています。骨粗鬆症は日本人をはじめとして、人類全体が最もかかりやすい病気の1つです。昔は骨折してからレントゲンを撮り、初めて骨粗鬆症に気づくといった状態だったので、実態はよくわかっていませんでした。レントゲン写真だけでは重症の骨粗鬆症しか判断できなかったのです。しかし、近年、二重エネルギーX線吸収法(DXA)などで精密に骨量が測定できるようになった結果、日本の総人口の10%弱、約1280万人が骨粗鬆症で、現在は症状が出なくても、いずれ腰痛や骨折を起こす危険が大きいと言われています。危険の程度を厳しく予測するかどうか、つまり、どこまで骨量が減少すれば危険とするかによって多少変わってきますが、骨粗鬆症予備群まで含めると2000万人に達するかもしれません。
なお、「原発性骨粗鬆症の診断基準 2000年度改訂版」では、二重エネルギーX線吸収法(DXA)で腰椎を測った場合、若い人(20歳~44歳)の平均値の70%未満の数値を骨粗鬆症としています。日本人全員の骨量を測るわけにはいかないので、いろいろな方法で約1100万人という推定を出しています。
- Q2
- 思春期や成人期の若い人でも骨粗鬆症にかかるのでしょうか
小児から思春期にかけて骨密度は急激に増加します。5歳時を100%とすると、18歳時には195%と、約2倍に増加します。したがって、この時期に十分骨密度を増加させないと、その人の最大骨量(ピ-ク骨量)は低いものになります。一方、20~40歳になっても、適度の運動、十分なカルシウムの摂取などで骨密度の維持や増加が期待できますが、増加率は2~3%程度です。このため、20歳以降は骨密度の維持や、減少を抑えることが主眼となります。
- Q3
- 思春期を過ぎてしまったらもう骨量は増やせないのでしょうか
骨は固いので、一度つくられると変化しないようにみえますが、実際は絶えず活発な新陳代謝をしています。身体の細胞と同じで、丈夫でしなやかな骨を保つためには、古い骨を壊し、たえず新しい骨に作り変える必要があるのです。 これを骨代謝といいます。 ところが、骨のもとになるカルシウムの摂取が不足したり、身体が老化して骨をつくるためのホルモンが不足してくると、骨をつくる量よりも骨をこわす量のほうが多くなります。
こうして骨からカルシウムが徐々に減り、骨がスカスカになっていきます。 人が生きている限り、骨も生きているのです。
- Q4
- 80歳の人の骨折が治ったという話しを聞きましたが、高齢者でも骨量は回復するのでしょうか
骨折の場合、折れた部分に新しい骨がつくられることで治ります。80歳になってもその働きは変わりませんが、高齢の方は、古い骨を壊す作用(破骨吸収)が、新しい骨をつくる作用(造骨)を上回ってしまうため、骨粗鬆症になってしまうことが多いのです。しかし、骨吸収を抑える薬や、骨の形成を促進する薬を使えば骨量は増えますし、カルシウムを充分にとり、適度な運動をすることも重要です。
- Q5
- 母乳で子育てをすると骨粗鬆症になりやすいのですか
先日、骨粗鬆症と診断されました。
出産後に母乳を長く与えていたのが原因でしょうか
出産後に母乳を長期間与えていても、骨粗鬆症にはなりません。母乳をよく与えた方が、むしろ骨粗鬆症になりにくいとの考えが一般的です。
最近の研究では、妊娠期にはカルシウムの吸収・利用が良くなることや、授乳期にカルシウムを多く摂取してもいったん骨量は減少しますが、授乳終了後約6ヵ月で元に戻ることが分かりました。そのため、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では妊婦・授乳婦のカルシウム付加量がなくなり、「目安量(700mg/日)を目指して摂取することが勧められる」「妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である」としています。
平成18年の「国民健康・栄養調査」によると20-39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありません。18-49歳女性のカルシウム摂取目標量は600mg/日ですので、明らかに摂取量が不足しています。妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められていますので、妊娠・授乳を機会に十分なカルシウムをとるよう心がけましょう。ちなみにカルシウムの上限量は2300mg/日ですので、通常の食事で上回ることはありません。
- Q6
- 骨粗鬆症患者は転倒時に骨が折れやすいのでしょうか
先日、70歳の母が転倒して大腿骨(足の付け根)を骨折しました。
「骨粗しょう症だから骨折した」と担当医に言われたそうですが、骨折の原因は転倒で骨粗鬆症とは関係ない気がします。骨粗鬆症の患者は、転倒の際に骨折する確率が高いのでしょうか
大腿骨頚部骨折の最大の危険因子は骨粗鬆症です。骨粗鬆症になると、骨の強度を保つための骨梁(こつりょう)が減ってしまうため、ちょっとした衝撃で骨が折れやすくなってしまいます。
骨粗鬆症でない方でも、ひどい転び方をすれば骨折することもありますが、骨粗鬆症の患者さんの方が大腿骨頚部骨折の危険性が高いのは確かです。
- Q7
- 超音波を利用した「美顔器具」を使うと骨粗鬆症になる?
超音波を利用した「美顔器具」を利用しています。超音波が骨粗鬆症の原因になるとききましたが本当でしょうか
骨粗鬆症の検査に超音波を利用しますが、超音波が骨粗鬆症の原因になったという報告はありません。超音波法はX線を利用した検査法と比較して精度は落ちますが、被爆の心配がなく簡便なためよく用いられています。
材木を切るのこぎりなどを長年使っていた人は“振動病”で皮膚が白く薄くなる(白蝋病)こともありますが、美顔器の超音波はそれほど激しく振動しないと思います。実際に超音波の程度や利用期間を確かめないと断定できませんが、骨粗鬆症を引き起こす可能性は少ないでしょう。
- Q8
- 「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因に?
健康診断で「骨粗鬆症」と診断されました。昨年から利用している“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子が原因でしょうか。
身体に害がない程度の電流であれば、骨には何の影響もありません。50代の男性で骨粗鬆症がある場合、原因は男性ホルモンの不足が考えられますが、通常はもっと若い頃から骨粗鬆症の兆候があるはずです。そのほかに、ステロイド剤を長期間のんでいたり、胃や腸の手術をして、栄養の吸収率が悪くなっているなどの原因がない場合、本当に骨粗鬆症かどうか確かめる必要があります。デキサ(DXA、二重エネルギーエックス線吸収法)で腰椎の骨密度を測ってもらってください。