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- Q1
- カルシウムの所要量の違いについて教えてください
- Q2
- リンとカルシウムの摂取比率を教えてください
- Q3
- カルシウムやマグネシウムをサプリメント(保険機能食品)からとるのは問題ない?
- Q4
- コーヒーやコーラはカルシウムの吸収を妨げてしまうのですか
- Q5
- 「炭酸飲料や酢を飲むと骨が溶ける」と聞きましたが本当ですか
- Q6
- 「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは本当ですか
- Q7
- カルシウムのサプリメントの吸収率はどれくらいでしょうか
- Q8
- アメリカ人と日本人のカルシウム摂取量について
- Q9
- カルシウムと各栄養素の摂取比率と安全量について
- Q10
- 1日の砂糖摂取量の目安を具体的に教えてください
- Q11
- 妊娠中の食生活について
- Q12
- カルシウムの摂取量が少なかった時代よりも、現代人の骨が弱いのはなぜ?
- Q13
- 足がつるのはカルシウム不足や骨粗鬆症の危険信号?
- Q14
- 金柑が骨粗鬆症を予防するって本当?
- Q15
- 牛乳を寝る前に飲むと良い、ときいたのですが本当ですか?
- Q16
- 玄米食を続けていると骨粗鬆症になるとききましたが、本当でしょうか
- Q17
- 喫煙とアルコールは骨粗鬆症に関係ありますか
- Q18
- 水泳は骨粗鬆症の予防に効果があるのですか
- Q1
- カルシウムの所要量の違いについて教えてください
2005年4月から、これまでの栄養所要量にかわって「食事摂取基準」が用いられるようになりました。
●食事摂取基準の指標について
・推定平均必要量
50%の人が必要量を満たすと推定される1日あたりの摂取量。
・推奨量
ほとんど(97~98%)の人が必要量を満たすと推定される1日あたりの摂取量。
・目安量
推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に設定される、
良好な栄養状態を維持するのに十分な量。
・目標量
生活習慣病の一次予防のために、日本人が当面の目標として摂取すべき摂取量
(または、その範囲)。
・上限量
ほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大限の量。
<カルシウムの食事摂取基準(mg/日)>
- 付加量は設けないが、目安量を目指して接することが勧められる。妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である。
- 上限量は十分な研究報告がないため、17歳以下では定めない。しかし、これは、多量摂取を勧めるものでも、多量摂取の安全性を保障するものでもない。
- 目安量と現在の摂取量の中央値とが接近しているため、目安量を採用した。
- 前後の年齢階級の値を考慮して、値の平滑化を行った。
- Q2
- リンとカルシウムの摂取比率を教えてください。また、リンのほかにたんぱく質や食塩もカルシウムの吸収を阻害するのでしょうか
リンはカルシウムと仲がよすぎて、すぐ一緒になってしまうのです。骨の中でも、リンとカルシウムはリン酸カルシウムとして結晶になっています。大量にリンを摂り、腸の中でカルシウムとくっついてしまうとやはり結晶になるので、腸管に吸収されて体の中には入らず、そのまま便に混じって出てしまいます。
そのため、リンを取りすぎるとカルシウムの吸収の邪魔をするのです。ですからリンは摂り過ぎない方がよく、カルシウムの2倍ぐらいまでが良いとされています。しかし、この基準は厳密なものではなく、カルシウムの吸収率はいろいろな影響をうけますので、3倍ぐらいでも差し支えない場合もあります。リンは肉、魚のほか、牛乳や清涼飲料水にも入っているため、自然に多めに摂ってしまいます。
なお、たんぱく質も食塩も大切な栄養分で、ある程度の量は必要ですが、たんぱく質で1日80グラム以上、食塩10グラム以上など、摂りすぎるとカルシウムを尿の中に出してしまいます。とはいえ、適量であればカルシウムの腸からの吸収にはあまり影響しません。むしろ適当な量のたんぱく質はカルシウムの吸収を助けるので、バランスの良い食事を心がけましょう。
- Q3
- カルシウムやマグネシウムをサプリメント(保険機能食品)からとるのは問題ない?
カルシウムやマグネシウムは食事からとることが良いでしょう。しかし、不足する場合は、補助としてサプリメントを使用することは問題ないでしょう。しかし、骨粗鬆症予防や、健康の維持・増進のためには、やはり毎日3度の食事が最も大切です。
骨粗鬆症予防に関わる栄養因子は、カルシウムやマグネシウムだけでなく、エネルギー、タンパク質、リン、ビタミンA、B、C、Kなどのほか、とくにカルシウム吸収に深く関わる因子としてビタミンDも大切です。毎日の食事でいろいろな種類の食品を食べることによって、エネルギーや微量栄養素も含め、体や骨に必要な栄養素をバランスよく(過不足なく)とることができます。
マグネシウムを多く含む食品は、魚介類(まぐろ、かつお、牡蛎など)、肉類、ほうれん草やバナナ、ごま、落花生などです。ビタミンDを多く含む食品は、魚介類(いわし、かつお、まぐろなど)、きくらげ、干ししいたけなどのきのこ類があげられます。
- Q4
- コーヒーやコーラはカルシウムの吸収を妨げてしまうのですか
コーヒーの中に含まれるカフェインには、尿を出す利尿作用があるので、あまりたくさんコーヒーを飲み過ぎると、尿と一緒にカルシウムも排出されてしまいます。1日にカップ5杯以上飲むと骨に影響が出るとも言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。たまにはミルクを入れてカフェオレにしたり、カルシウムの多い食品を食べるなど、カルシウムを補給しながら飲めば、骨への影響を最小限に抑えることができます。
なお、同じカフェインを含む飲み物でも、紅茶や緑茶は骨粗鬆症を予防する効果があるようです。
コーラにはリン酸が多く含まれており、カルシウムの吸収を妨げるので、 あまり大量には飲まない方が良いでしょう。
- Q5
- 「炭酸飲料や酢を飲むと骨が溶ける」と聞きましたが本当ですか
炭酸飲料の飲用が直接骨に影響を及ぼすことはありません。しかし、1日に多量の炭酸飲料等を飲んでいると、糖分のとりすぎのほか、肝心な1日3度の食事がおろそかになりがちです。
また、毎日酢を飲んだとしても、骨は溶けません。食材としての酢は酸性で、料理などで、魚の骨を軟らかくするために酢を利用することはありますが、体の中ではカルシウムの吸収を助ける作用があります。食物に含まれるカルシウムは、胃に入ると胃液(胃酸)によって溶けて、吸収しやすい状態になりますが、酢は胃酸の分泌を促す効果もあり、カルシウムの吸収に効果的に働いていると考えられます。
- Q6
- 「骨粗鬆症にはビールが良い」というのは本当ですか
2002年7月19日から開催された「第56回日本栄養・食糧学会」(北海道大学)において、動物モデルを用いたビールの骨密度減少抑制作用に関する研究が報告されました。これによると、ビールに含まれるホップ成分に骨密度の減少を抑制する作用がある可能性を示し、ラットでの結果を人に換算したところ、ビールの適量摂取(体重60kgの成人で約100mLに相当)が、骨密度減少に効果的に働き、骨粗鬆症発症のリスクを低減する可能性が示されています。
アルコールは百薬の長と言われますが、適量を守り、週に1日は休肝日を設けて、健康維持に努めましょう。
- Q7
- カルシウムのサプリメントの吸収率はどれくらいでしょうか。また、サプリメントで骨粗鬆症は予防できますか
不足しがちなカルシウムを補給するためには、毎日3度の食事のバランスが重要です。しかし、どうしても補えない日があればサプリメントからの補給もやむを得ないでしょう。
サプリメントに含まれるカルシウムの吸収率は、第6次日本人の栄養所要量におけるカルシウム所要量の算定に適用されたデータによると、乳児は50%、1~11歳は40%、12~17歳は45%、18~29歳では35%、30歳以降は30%となっています。
生体内におけるカルシウム吸収は、カルシウム源の違いや、同時に摂取する食物の栄養因子や、さまざまな生体の内因性因子(生体のカルシウムに対する必要度、健康状態、年齢、身体活動量など)によって、その吸収率は異なります。なお、サプリメントを摂取するタイミングは、空腹時よりも食事時のほうが吸収率がよいことから、食事のときに補給しましょう。
普段の食事に加えて、サプリメントからカルシウムを補給した介入試験では、骨量が増加し、さらには骨折予防効果も示したとする結果が、国内外において数多く報告されています。
食品でいえば、たとえば、牛乳は、カルシウム供給源として含有量のみならず吸収率においても優れた食品です。ヒトを対象にした食品別カルシウム吸収に関する研究結果においても、カルシウム吸収率は、牛乳39.8%、小魚32.9%、野菜19.2%を示し、牛乳に含まれる乳糖およびCPP(カゼインホスホペプチド:牛乳のタンパク質の主成分であるカゼインが消化される過程で生成される代謝産物)がカルシウムの吸収を促進していると考えられます。
- Q8
- アメリカ人と日本人のカルシウム摂取量について
日本人のカルシウムの摂取量が、アメリカ人よりも少ないといわれているのはなぜでしょうか。日本人の方が、魚類などからカルシウムをとっていると思っていたのですが
日本人と比較して、アメリカ人は牛乳をはじめとする乳製品の摂取量が多いといわれています。また、魚や海草など、日本の伝統的な食材にもカルシウムは多く含まれていますが、牛乳と比較すると、一度に大量に摂取しにくいことも原因の1つと思われます。
- Q9
- カルシウムと各栄養素の摂取比率と安全量について
骨粗鬆症治療のために、薬と食品で毎日カルシウムを約2,000mgとっていますが、吸収率を上げるためにはマグネシウムなどの栄養素も必要とききました。各栄養素の摂取比率と、安全な摂取量について教えてください
栄養素等摂取量やバランスについては、以下をご参照ください。
●「食事摂取基準」によるミネラルの1日あたりの上限量
上限量:ほとんどすべての」人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大限の量
例・カルシウム……2300mg(18-70歳)
・鉄…………………40mg(15-49歳)
・リン……………3500mg(18-70歳)
・マグネシウム… 通常の食品以外からの摂取量の上限は350mg(成人)
●ミネラルのバランス
例・カルシウム/リン比………………0.5~2の範囲
・カルシウム/マグネシウム比……2:1程度
カルシウム600mgに対してリンを1、200mg以上摂取すると、カルシウムの腸管からの吸収阻害のリスクが増加します。
・カルシウムの腸管からの吸収に関わる因子
吸収促進因子:ビタミンD、乳糖、カゼインホスホペプチドなど
吸収阻害因子:リン、食塩、アルコール、カフェインの過剰摂取
[栄養素以外にも、喫煙、不動(運動不足)などを含みます]
骨粗鬆症の治療においては、充分な量のカルシウムやビタミンDの摂取は効果的に働くと考えられます。毎日の食事のエネルギー摂取量をはじめとして、たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミン類が過不足なく適正量摂取できるように注意を払ってください。
ただし、カルシウムやマグネシウムの摂取のみで骨粗鬆症は治りません。医療機関で適切な治療を受けてください。
- Q10
- 1日の砂糖摂取量の目安を具体的に教えてください
砂糖をそのまま食品として摂取する場合の目安量は、1日5gとなります。
また、砂糖とは別に、菓子類の摂取目安量が設定されています。1日あたり20g~30gで、例えば、ビスケットの砂糖含有量は約22%ですから、間食として10gのビスケットを2枚食べた場合の砂糖摂取量は約4.4gとなります。
なお、砂糖と菓子類の摂取目安量は、「第6次改定日本人の栄養所要量食事摂取基準の活用」(第一出版、編集:健康・栄養情報研究会)の食品構成が基準となっています。食品構成とは、栄養的特性が似ている食品を「食品群」としてまとめて、1日の所要量に沿った栄養素を容易に摂取するための食品群別摂取量を示したものです。摂取量の基準は対象者の年齢や性別等によって異なります。
- Q11
- 妊娠中の食生活について
いとこが妊娠しているのですが、つわりで気分が悪いため、食事が偏ってしまうようです。妊娠中は、子供にカルシウムが移行するので骨粗鬆症になりやすく、食生活で予防した方が良いときいたのですが、どんな食事を勧めれば良いのでしょうか
新生児の体内のカルシウム総量は約30gで、これは臍帯を通じて母体から胎児に移行したものです。
「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められています。20~39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありませんので、毎日の食事から十分な量のカルシウムを摂取する必要があります。食事からとれない場合は牛乳やバター・チーズなどの乳製品の利用を考えましょう。
ところで、「現在つわりが発現している」とのことですが、つわりは多くの妊婦(約 90%)が経験する症状で、おおよそ妊娠14~16週には消失し、その後少しずつ食欲が高まってきます。つわりの最中は食欲低下が生じることが多いため、無理をしないで、食べたいものを食べることが大切です。
妊娠期の栄養管理は、骨だけでなく、母胎や胎児の健康管理の面からもたいへん重要です。つわりの症状が軽減してきたら、体重管理などに注意を払いながら、不足しがちなカルシウムや鉄をはじめとする栄養素等の摂取に努めてください。
【つわりの際の健康管理のポイント】
- 起床時や空腹時には簡単に食べられる食品を用意しておく。
- 脂っこいものや刺激の強いものは避ける。
- 食欲がない場合には、酸味のあるもの、冷たいものを利用する。
- 水分の補給を行う。
- 便秘にならないように気をつける。野菜、果物、いも類、海草類など、繊維の多いものを食べるよう心がける。
- 食事の回数を多くして、一回の食事量は少な目にする。
- 周囲の人に、つわりは正常に妊娠が進行している証拠であることを理解してもらい、両親や夫の援助を受ける。
- Q12
- カルシウムの摂取量が少なかった時代よりも、現代人の骨が弱いのはなぜ?
昔の日本人は、カルシウムを1日に400mg以下しか摂取していなかったとききましたが、現代人よりも骨は強かったはずです。カルシウムだけを摂取しても骨は強くならないと思いますが、いかがでしょうか。また、カルシウムを摂取する場合、日本人は「乳糖不耐性」の人が多いため、牛乳を飲むよりも、昔から食べてきた大豆製品や、小魚、海藻類をとる方が安全ではないでしょうか。
昔と現在の日本人の骨の強さは正確に比べられませんので、「現代人の方が骨が弱い」と断定はできませんが、確かに、子供の骨折が増えているなどの報告はあります。骨の強さや骨折の危険度は、運動で養われる筋力や平衡機能などが関係しているので、運動不足や、栄養過剰による肥満が骨を弱くする原因になっている可能性もあります。
なお、カルシウムの吸収率は、総カロリーやタンパク質の摂取量が関係しています。タンパク質をとりすぎると、尿の中にカルシウムを排出するため、高カロリー、高タンパクの食事でカルシウムを大量に摂取しても、昔の一般的な食生活ほど吸収率は高くないかもしれません。
牛乳はタンパク質や、大量に摂取するとカルシウムの排出を妨げるリンを含んでいるため、理想的なカルシウム補給源とは言えない部分もありますが、カルシウムを手軽に摂取できる食品であることは確かです。例えば、大豆製品や小魚、海藻などは、単位重量あたりのカルシウム量は多くても、一度に大量に食べられないため、カルシウムの総摂取量を上げるためには、牛乳を含めたバランスの良い食事が欠かせません。
- Q13
- 足がつるのはカルシウム不足や骨粗鬆症の危険信号?
私はよく足がつるのですが、カルシウム不足が原因でしょうか。また、足がつるのは骨粗鬆症の注意信号ですか?
筋肉がつるのは、運動選手のように筋肉を使い過ぎたり、寝冷えや、筋肉の位置が変わってしまうのが主な原因で、まれにカルシウムやマグネシウム不足が関係する場合もあります。悪い夢をみて、うなされて過呼吸をすると血液がアルカリ性になり、一時的にイオン化カルシウムが減って筋肉がつる場合もあります。
カルシウム不足の状態が続くと骨粗鬆症の危険性も高くなります。ご心配でしたら検査を受けてみましょう。
金柑はカルシウム含有量が80mg/100gで、他の柑橘類と比べて、100gあたりのカルシウム含有量が多いのが特徴です。果肉よりも果皮にビタミン Cやカルシウムが多く含まれており、生食だけでなく、砂糖漬けやシロップ漬けなど、丸ごと食べる機会が多いため「骨粗鬆症を予防する(?)」と言われているのではないでしょうか。
しかし、金柑は1個あたり10g程度ですし、現時点では、金柑の骨粗鬆症予防効果に対する科学的根拠は見受けられません。
- Q15
- 牛乳を寝る前に飲むと良い、ときいたのですが本当ですか?
「カルシウムを夜に摂取すると効率が良い」という根拠としては、以下の理由が考えられます
・ちょうど就寝中の夜中に成長ホルモンの分泌が最も著しく、骨代謝も活発化している
・夕食後から起床まで絶食状態であれば、若干カルシウム不足となり、血液中のカルシウム濃度を維持するために、骨からわずかにカルシウムがとり出される
また、牛乳はカルシウムの吸収率が高いうえに、乳タンパク質が分解してできる「オピオイドペプチド」(生理活性ペプチド)という物質が、神経伝達物質の分泌を抑制して鎮静作用を示すことがわかっています。さらに、眠りを持続させる「セロトニン」という物質を産生するアミノ酸(トリプトファン)も多く含まれているので、夜に牛乳を1本程度飲むことが勧められているのだと思います。
- Q16
- 玄米食を続けていると骨粗鬆症になるとききましたが、本当でしょうか
玄米食を続けていると、消化の際に骨から何かの物質がとりだされて骨粗鬆症になるとききましたが、本当でしょうか
ご存知の通り、玄米は籾から籾殻を除いたものです。糠と胚芽が残っているので、精米した白米よりも、たんぱく質や脂質、ミネラル(無機質)、食物繊維などの栄養成分が多く含まれています。とくに、100gあたりの食物繊維は、精白米の0.5gに対し、玄米は3.0gも含んでいます。
「玄米を食べると骨粗鬆症になるのでは」との質問ですが(1)食物繊維の過剰摂取が、腸からのカルシウム吸収を阻害するといわれている(2)玄米に含まれる「フィチン酸」(種子類や穀類に広く分布している)とミネラル(鉄、亜鉛、カルシウムなど)が結合して不溶性となり、利用効率が悪くなるといわれていることが原因だと思いますが、普段の食事量ではまったく問題ないでしょう。
日本人の食物繊維の目標摂取量は1日あたり 20~25gですが、この程度であれば、カルシウム吸収には影響ないと考えられます。ヒトを対象とした実験では、1日53gの食物繊維を21日間摂取した場合に、カルシウムの排出量が摂取量を上回ったとの報告はありますが、普段の食事ではこのような過剰摂取は考えられません。
また、フィチン酸も過剰摂取でない限り問題ないでしょう。なおフィチン酸の研究においては、牛乳がフィチン酸によるミネラルの不溶化を防ぐ作用があるとの報告もありますので、骨粗鬆症予防のためにも、毎日牛乳(1本程度)を飲むと良いでしょう。
- Q17
- 喫煙とアルコールは骨粗鬆症に関係ありますか
喫煙は骨粗鬆症の危険因子の1つで、胃酸の分泌や腸管の運動を抑制し、カルシウムの吸収率を低下させたり、女性の場合は、女性ホルモン(エストロゲン)の代謝に悪影響を及ぼすと言われています。
アルコールについては、適量であれば骨を強くして、骨粗鬆症を予防する効果があるという説が有力ですが、どれくらいまでが適量なのかについてはまだよくわかっていません。適量のアルコールは食欲を高めて、食事からカルシウムをとりやすくなる効果があるのかもしれません。しかし、アルコールには利尿作用があり、飲み過ぎて尿の中にカルシウムが出てしまうと逆効果になります。
水泳は、骨量の減少や骨粗鬆症を予防する効果があります。骨の形成が盛んで骨量が増加する時期には、水泳よりも骨に負荷がかかりやすい運動の方がより有効なことは確かですが、中高年期には、日常の身体活動を高めることが重要になってきます。足腰が弱ったり、体を動かすことが困難な人の場合は、少しでも日常の活動量を高めるための手段として、水泳や水中運動(温水中で歩いたりストレッチをしたりする運動)を行います。水中では浮力がかかるため、体重の負荷がかからず、楽に体を動かすことができるからです。